悪路、ぬかるみ惑い

なんか無節操なこと備忘録兼ねて

なにかに捧ぐ

空気が重たいと感じると脇腹のあたりがぐっと緊張してきて次第に腹全体が硬直するかのように重たくなっていく感じがする。同時に非常に重たい緊張に身体全体が支配されていく・・・。

前までこれぐらいどうってことなかった、というかここまで酷くなかったしちょっとした変化でも耐えられたが今はもう瞬間的に一気に上がってくるので身体への緊張の負担がすごい・・・。

ちょっとした変化にも敏感になった・・・というかセンサーが作動する・・・。

落差がある、この原因は何なのか・・・?
自分自身の捉え方だけのせいならそう思考しないように訓練していきたいが、意思とは裏腹に身体の方が一足先に臨戦モードになってしまうのではいやはやまいったものである・・・




夕飯時だけに起きてくる彼を見て彼女の感覚は鋭利になったように、場の空気がピリっとついていくのがわかる。飯の支度する物音は先ほどより明らかにけたたましい。

昼は彼はずっと自室の布団に横になっている。昼飯ももちろん食べない。時折起きてきては煙草を吸いにベランダへと出ていくがそのまま起きて活動をするとかはなく、すぐに自室へと戻っていく。しかしまたしばらくして煙草を吸うために起きるといった繰り返しだった。
彼は夜に眠れなくなったといってから随分前からこのままだった。
夕飯時になると唯一彼は起き出しテレビを見て飯を食べ、酒を飲む。

彼女は日中の彼の様子を知っている。彼が昼間もなぜこのように起きてこないのか、昼飯を食べないのか、どうして夕飯を食べられるのに酒を飲むのに日中何の行動もしないのか。彼女は憤っていた。
彼が一体何を考えているのか、何の行動をしたいのか全くわからなかった。

ただ夕方になると彼は起きてきて飯を催促するように沈黙していた。以前まだ元気だったころは飛び交った会話も今は緊張感の漂う静寂の中に沈んでいた。重力がその場所を一点にめがけ湿気をまとった厚い空気を落としてきたかのようにただ重たい空間だった。

そんな日がもう何十日も続いていた。
毎日この時間になるのが憂鬱だった。
これはいつ元通りになるのだろう、良くなるのだろうか。
いや、良くならないことなのかもしれないし恐らく元通りにはならないと思った。

だったらこれから何を始めればいいのだろう、
わからない、途方に暮れる。

ただこの異常な重たい流れの中から早く逃れたい。
それともこの重たさなど本当は存在しないのだろうか、自分にはわからない。だがこの身のつらさはずっとなくならない。

一体どうすればいいのだろう、私は何をすればいいのか。





(私が何をして、皆が救われるなら・・・自分が救世主にでもなったつもりか、思い上がりもいいところだ。
そういって情けない人たちの前に自分を差し出すことの意味の無さだ。自分の為に力は残しておけ、知恵はとっておけ
インフェルノに突っ込むなんてやめておけ、塵くずになるだけだ。自身の為に祈れ、自分で自分を救うのも悪くない。)