悪路、ぬかるみ惑い

なんか無節操なこと備忘録兼ねて

貴人のfake

※一部フェイクを入れています




どうしようもできない、とか何もできないとか

毎回毎回インターネットが繋がらなくなるのは気まぐれに訪れる隣人が原因だろうと考えた。気まぐれと書いたのは、誰が住んでいるのか名前もわからないからである。
だが住んでいる(滞在している)ことはわかる。重たく鈍い足音と何かを大きなものを落としたり動かしたりする音(生活音にしてはさすがに大きすぎると思う)が毎度異常なほど大きく響いている。

しかし「誰」がいるのかはわからない。一度見たことない人が出てくるのを見たがその一週間後にはまた見たことがない人が出てきた。3人くらい見たことない人たちが出てきた。一人は大荷物を抱えて出ていった。
新しい住人だと思ったが集合ポストにはその名前もない。

前の隣人は一家だった。小さいこどもがいたようだが物音もあまりしないし、普通の範囲の人たちだった。その一家はいつの間にか越していったのを記憶している。それらしい人たちも見なくなった。

だがここ最近で、昼夜問わず異様な物音が響くようになった。何か大きなものを引き摺るような音、鉄の塊を床に落としたような音、ドスンドスンと踏み鳴らした足音が部屋の中を往来しているのがわかるレベルだった。

夜だろうがお構いなしに何かを出し入れする音はドスンガコンドスンとする。それほど大きな音なので毎日聞こえるものかと思いきや、全くしなくなる時があるからいない時があるのだろう、来たと思うと足音がまず響き渡り上記の通りお祭りが始まる。
極めつけにインターネットがサーバーエラーを起こして全く見れなくなる。エラーを起こすときも決まってその前後にガタガタと音がしているから、その人が原因の一つであることは間違いないと思う。音がしない(いないだろうと思われる)週のときはエラーが全く起こらないのだから。

一体普通に使っているだけではこちらにサーバーエラーをきたすほどではないと思うのだが、と毎度思っている。一体いつもバタバタと何をしているのだろう。


と思うと見たことのない誰かの一人が町の寺に出入りしているのを見たと身内が言った。
寺といってそういえば前の一家も寺に出入りしていたのを見たことがあった、確か坊主だったと思う、袈裟を纏っているのを見たことがあった。

隣人は前の住人なのだろうか、と思っても前の住人と構成が違うし風貌見た目も違っている。
同じとはあまり考えにくいのだ。それに前の隣人と見たことのない人はどういった関係なのかがわからない。その前の住人の坊主も出入りして住んでいる様子もないのだ。
じゃあ一体誰なのか。見たことのない人はその寺の関係者だとしてどういう関係なのか。

関係など問いてもどうするのかと言われてこう答える。あまりにも横柄なのだ。いつの間にか突然やってきて大きな物音を立てながら、インターネット環境を著しく悪化させる。「誰か」がわかるだけで溜飲が下がることだってあるのだ。その代わり誰かがわからないからこそ敵としてモチベーションを維持できるのだが。
しかし実際にインターネットが全く使えなくなるのは困るし死活問題である。(実際これのお陰で機器の動作が不安定になる)

自分なりに出した推測があるのだが、その隣人は部屋を寺のオフィス代わりに使っているのではないかということだ。部屋をオフィス用に使用するのは禁止事項なのだがそこに「町の」寺という権威がのし掛かる。町内会(組合)と寺は共同体である。「町の」ということは寺は地域の町内会にとってバックスポンサーのような存在である。
だから誰も「寺の」関係者のやることには口出しができない。むしろ訴えたこちら側が一方的に悪にされるだろう、それくらい相手は権力者なのだ。

その横柄と好き放題には権力者相手には何も言えないし何もできないのだ。つくづく思う、なぜか私はこういった人生の道のような部分において執拗な邪魔が入りやすいし、ひねくれだた不運な目に逢いやすいと自覚している。


大人しくその人たちが消える周期まで耐えるしかない、しかしこちらは体調が悪い、ネットを見ることが安寧に繋がる時もあるので繋がらないことは不安を増長させるか余計な苛立ちと怒りを沸き上がらせるだけなのだ。

生臭寺とはよくいったものであるがこの言葉をそっくりその関係者たちには送りたいと思う。
真剣にその道に取り組んでいる方々に失礼だと思う。俗世の欲にまみれた寺というのはその権力で欲しいままにしやりたい放題である。崩れた権威、悪徳に落ちぶれた威光ほどこの上厄介なものはない。



(一度夜中に謎の女の声がとても近くで聞こえてきた、身内は既に就寝していてどうやら家ではない。その声は電話をしているらしく丑三つ時を過ぎた頃辺りまで壁越しに反響して聞こえてきた。くぐもっているので会話の中身ははっきりとわからないが相槌や笑い声は鮮明に聞こえてきたのを覚えている。女の声は年がいってるように思ったが話し方は若そうにしていた。何となく飲み屋の女のようだと思ったものだ。その女が知らない住人なのかは実際わからないが私の中ではそう確信づいている。)













この物語はフィクションです
実在する人物・団体とは一切関係ございません